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死者に微笑みを〜日経サイエンス2009年10月号より

 死刑囚を無理やり笑わせる毒薬が実在するようだ。ギリシャの詩人ホメロスは,サルジニア(イタリア半島の西沖にある島)で行われていたとされる儀式殺人にちなんで,「サルジニアの笑い」という言葉を造った(英語のsardonic grinは「冷笑」「嘲笑」「引きつり笑い」の意)。フェニキア人が支配していた古代サルジニアでは,犯罪者や介護なしでは生きていけなくなった老人に酔い薬のようなものを飲ませて笑顔を作らせた後,囚人は打ち殺され,老人は岩山から突き落とされたという。
 イタリアにある東ピエモンテ大学の科学者たちは,その薬のもとになった草を特定したと考えている。サルジニア島によく見られるドクゼリの一種Oenanthe Crocataで,現地では“水セロリ”として知られている。毒性の強い化学物質を含んでおり,これが顔の筋肉を引きつらせ,笑ったような顔にしていたらしい。Journal of Natural Products誌5月22日号に掲載。

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