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排出窒素を追う〜日経サイエンス2009年10月号より

 人類は大気中の炭素だけでなく窒素の濃度も乱している。化石燃料を燃やすと窒素酸化物が排出され,これが生態系を過度に富栄養化したり,他の化合物と反応してスモッグや酸性雨を生じたりする可能性があるが,人類が大気中の窒素濃度をどのくらい乱しているかを特定するのは難しい。
 これを調べるため,ブラウン大学とワシントン大学(シアトル)の科学者たちはグリーンランドで採取した氷床コアを分析した。過去300年の硝酸塩堆積物を捕捉している試料だ。この結果,一般的な窒素14に比べて窒素15(同位体の一種)の濃度が過去150年間に急減していたことがわかった。これは燃料の燃焼に伴って生じた窒素酸化物が流入したためだと考えられる。燃焼で生じる窒素酸化物には,なぜか窒素15がほとんど含まれないためだ。
 同位体比の変化が生じた時期は,工業化の時期と一致してもいる。実際,最も大きく変化した時期は,化石燃料消費による排出急増後の1950年から1980年までの間だった。Science誌6月5日号に掲載。

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