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女性は危機に際して結束する〜日経サイエンス2010年9月号より

「闘争か逃走か」は男だけ?

 

 人間は危機に直面すると,それに立ち向かうか,あるいは逃れようとする,と考えられてきた。だが,この「闘争か逃走か」反応が当てはまるのは男性だけなのかもしれない。最近の研究で,女性は男性と違ってストレスを受けると面倒見がよくなることが示された。子育てや社会的絆(きずな)の形成に積極的になるようだ。 
 南カリフォルニア大学の心理学者マザー(Mara Mather)らは,男女の被験者に手を氷水につけてもらい,ストレスホルモンのコルチゾールを急上昇させた。その後,被験者に怒った顔と普通の顔を見せながら,脳の活動をスキャナーで撮影した。 
 男性の場合は,ストレスを受けた人は受けていない人に比べて,顔の認識に重要な役割を果たしている脳領域の活動が弱かった。表情を理解する能力が低下していると考えられる。対照的に女性では,ストレスを受けた場合にこの脳領域の活動が高まった。さらに,他人の感情の理解を可能にしている脳神経回路が大きく活性化した。 
 ストレス下にある女性は顔の表情を読んで共感する力が高まっており,これが逆境下で結束する傾向の基礎になっている可能性がある。この傾向は困難な状況で自分の子どもを守るために進化してきたのかもしれない。

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