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湿った小惑星を発見〜日経サイエンス2010年9月号より

やはり小惑星が地球に水をもたらしたのか…

 

 火星と木星の間の公転軌道を回っているある小惑星の表面に,氷と有機物が存在していることがわかった。これらの成分が小惑星に見つかったのは初めて。氷と有機物は彗星では見つかっていたが,彗星は太陽系でもずっと遠くて低温の領域に起源がある。今回の発見は,小惑星によって初期の地球に海のもとになる水と,生命のもとになる有機化合物がもたらされたとする説を支持する材料だ。 
 2つの研究チームが,差し渡し200kmの小惑星24番「テミス」を観測した結果をNature誌4月29日号に報告した。両チームとも,赤外吸収スペクトルから,氷の薄い層と有機物質(種類は特定できていない)の存在を確認した。米航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターの惑星科学者クルークシャンク(Dale Cruikshank)は,「長らく太陽系内に探し求めていたものが見つかった」と評する。 
 この小惑星が興味深いのは,いわゆる「メインベルト彗星」に似た軌道を持ち,同じ母天体から生まれたとみられる点だ。メインベルト彗星は軌道が小惑星帯内に収まっている小天体だが,彗星のような尾があり,この尾は氷が昇華したものだと考えられている。これらのメインベルト彗星と今回のテミスは「非常に興味深い天体であり,地球の海の水源の1つである可能性がある」とクルークシャンクは説明する。
 一方の論文の共著者であるセントラルフロリダ大学の天文学者カンピンス(Humberto Campins)は,他の小惑星にも氷が存在する可能性があるとみる。「テミスだけの特徴かもしれないが,真相は誰も知らない」。

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