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つぶやきには知恵がある〜日経サイエンス2010年12月号より

ツイッターを解析すれば新発見

 

 批評家たちはツイッターに投稿される140文字のメッセージをつまらないものだとばかにしてきたが,研究者にとっては,この人気のソーシャル・メディア・サイトはデータの宝庫だ。
 チリのサンティアゴにあるヤフー研究所のポブリート(Barbara Poblete)らは,2月のチリ地震の際のツイートを解析し,オンライン上で噂が広まる様子を調べた。この結果,人々はツイッターを使って虚偽と事実を区別していたことがわかった。サンティアゴと同じタイムゾーンにいたユーザーによる地震関連のキーワードを含むツイートのうち62%が,後に虚偽だとわかった噂を疑うか否定していた。これに対し,後に確認された事実について疑ったツイートはわずか2%で,否定は0.3%だった。
 別の研究グループは全米の気分の変化を追跡した。ノースイースタン大学のコンピューター科学者ミスラブ(Alan Mislove)とハーバード大学の物理学者レーマン(Sune Lehmann)は,心理学者が感情の度合いを評価ずみの単語(例えば「勝ち誇った」や「自殺」など)を含むツイートを解析した。これまでに,早朝と夜,週末のツイートは幸福度が高いこと,そして予想に違わず西海岸のほうが東海岸よりもハッピーであることがわかった。
 同グループは今後,ツイッターを使って政治的風土の違いを追跡したいと考えている。「ツイッターはオープンなものとして設計されているので,ツイートの内容を見ても誰のプライバシーも侵害したことにならない」とレーマンはいう。ツイッターは4月,公開されたツイートの履歴を米国議会図書館に寄付すると発表している。

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