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動物たちにも広がる肥満 ~日経サイエンス2011年4月号より

環境要因の変化が影響?

 

 肥満はふつう,質の悪い食事と運動不足が原因とされる。だが,ウィスコンシン州マディソンの研究所で飼育されているマーモセットとマカクザルは1982年からずっと同じ食事と運動で管理されているのに,時代を経るごとに以前よりも体重が増えている。このため,アラバマ大学バーミングハム校の生物統計学者アリソン(David B. Alison)は環境要因が影響しているのだろうと考えるようになった。

 彼は共同研究者とともに,研究用の霊長類や齧歯(げっし)類,飼い猫と飼い犬,都市部にすむ野生ラットなど2万匹の動物の体重変化を調べた。10年単位で見た体重増加率と肥満個体の割合を追跡した結果,どちらも強い増加傾向を示した。チンパンジーは10年間で体重が33.6%増え,マウスでは12.46%増えていた。

 飲み水への内分泌撹乱物質の混入や,病原体が哺乳動物の代謝に影響を及ぼしているのが原因ではないかとアリソンは推定している。これに対し,食事と運動の変化によって説明がつくとする見方もある。1つの飼育ケージのなかで多数の研究用動物が飼育されるようになり,そうした要因が変わったのかもしれない。しかし,ますます混雑した環境で生活するようになっているのは人間も同じだ。「飼育ケージ中の個体密度が動物の体重に影響するなら,同じように人間の居住密度が体重に影響する可能性がある」。

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