6月8日にネットが止まる?~日経サイエンス2011年7月号より
新IPアドレスへの移行テストで,ひょっとすると…
すべてのコンピューター,モデム,サーバー,スマートフォンにはインターネット上の“住所”に相当する「IPアドレス」が振られているので,ネット経由で他者がそれを頼りにアクセスできるようになっている。IPv4と呼ばれる現在のフォーマットは1977年に標準化された32桁の2進数で, 43億(2の32乗)という当時としては無限に思えたアドレスを指定できる。
しかしいまや,それがほとんど尽きようとしている。そこでここ数年,インターネット関連企業はIPv6という128桁の新しいアドレス方式を本気で検討してきた。これまでは各社ともまだ実用には供していなかったが,それが来る6月8日に変わる。グーグルや通信会社のコムキャストなどが,IPv6の24時間テストを行う予定だ。
IPv4からIPv6への移行はおそらく円滑に進むだろう。よほど古いパソコンや携帯電話を除けば,すでにどの装置も両方のスキームに対応できる設定になっている。だが,デジタル加入者線(DSL)モデムとケーブルモデムについてはそうでもないとアジア太平洋ネットワーク情報センター(APNIC)の首席科学者ヒューストン(Geoff Huston)はいう。対応していない場合,IPv6のアドレスにアクセスしようとすると,余計に時間がかかるか,接続できないだろう。
インターネット企業は,向こう数年は両方式をサポートする必要があり,これはアクセス速度を遅くする可能性がある。「ある時点でIPv6が主流となり,みなそれに合わせてシステムを最適化するだろう」とヒューストン。その日がいつ来るのか,誰も予言はできない。
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