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新鉱物「千葉石」~日経サイエンス2011年5月号より

メタンを内包,プレート境界付近ならではのユニークな構造

 

 千葉県南房総市で発見された鉱物が,これまでに報告されていなかった新しい鉱物であることがわかり,「千葉石」(ちばせき;chibaite,チバアイト)と命名された。主成分は水晶などと同じ二酸化ケイ素(シリカ)だが,かご状の結晶構造をしていて,なかにメタンやエタンなどの分子が入っている。大きさは1mmから数mm。深海に存在するエネルギー資源として近年注目されている「メタンハイドレート」の水分子が,二酸化ケイ素に置き換わったような鉱物だ。
 メタンには大きく分けて微生物(メタン菌)由来のものと熱分解由来のものがあり,後者はプレートの沈み込み境界が発生源となっている。微生物由来は純粋なメタンであるのに対し,千葉石にはメタンのほかにエタンやプロパンなどが入ることもあるため,熱分解由来と考えられるという。千葉石が見つかった地層がプレートの沈み込みに伴って生じる「付加体」という地質構造であることも,千葉石がプレートの動きに関連した鉱物であることを裏づけている。
 千葉県在住のアマチュア研究家である本間千舟さんと西久保勝己さんが別々に発見した。物質・材料研究機構と産業技術総合研究所などが結晶構造を解析し,国際鉱物学連合に新鉱物としての認定を申請していた。これまでに報告されている鉱物は世界で約4000種あり,うち日本で最初に発見されたのは110種。千葉県での新鉱物発見は今回が初めてだ。
 論文は2月16日のNature Communications誌オンライン版に掲載。6月12日まで千葉県立中央博物館(千葉市中央区)で千葉石のトピックス展が開かれ,結晶構造の模型のほか,実物も展示されている。

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