きょうの日経サイエンス

2011年2月10日

見れども見えずイトカワの塵

 探査機「はやぶさ」が地球に持ち帰ってきた小惑星イトカワの微粒子の詳しい分析が始まりました。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)には強力なX線を生み出す放射光施設「フォトンファクトリー」があり,東北大学の中村智樹先生らのグループは,そのエックス線を用いて微粒子の鉱物組成や元素組成を調べています。
 先日,その分析の模様が報道公開されました。微粒子は炭素ファイバーの先端に接着されていて,それにX線を照射します。機会を得て,30cmくらいまで眼を近づけて微粒子の実物を見たのですが,一生懸命,眼を凝らしても,眼をゴシゴシこすっても,見えるのは炭素ファイバーばかり。「見えるはずありませんよ」と横から中村先生に言われてしまいました。
 イトカワの微粒子の分析については,日経サイエンス2011年2月号の記事「見つかった! イトカワの微粒子」で詳しく紹介しましたが,「やっぱり本当に小さいんだ」というのが,実物を前にしての率直な感想です。
 ゴマ粒ほどの大きさもない微粒子は,約46億年前の太陽系誕生の記録が詰まったいわば「玉手箱」。今,私たちは,先端技術の力を使って,その玉手箱のふたを開けようとしています。いったいどんなものが出てくるのか,その最初の報告の場となるのが,3月7日から11日まで米テキサス州ウッドランズで開かれる月惑星科学会議。日経サイエンスでもニュースとして紹介する予定です。