2010年11月10日
しょっぱいドレス
今回のNHK「大科学実験」は塩の結晶を作ろうというもの。実験そのものはシンプルですが,「特注の大水槽」で「ウェディングドレスの飾り」を塩の結晶で,というところが大科学実験らしいところです。
一口に「塩」といいますが,実際には食用と工業用,実験用があります。実験用はもちろん純度も高いわけですが,値段もお高い。というわけで今回は食用の塩を使いました。
食用の塩は純度はそれほど高くないものも多いです。スタッフの鈴木文野さんが探し出したのは,メキシコの食卓塩。純度99.9%の品です。食塩としてはかなりの純度です。
ところが・・・。
水が白く濁ってしまったそうです。
結晶ができる様子を水槽のガラス越しに撮影するのですから,水が濁っては台無しです。
「食卓塩だったから,サラサラにするための乾燥剤として炭酸マグネシウムが入っていたのです。それがいけなかったみたいで・・・」(羽岡伸三郞さん)
結局,大実験では日本近海の食塩を使うことになりました。鈴木さんは「やっぱり日本産はいい」と言ったそうですが,ディレクターの寺嶋章之さんのイメージではやっぱりサラサラの塩。水槽に入れるときの「どさどさって感じがどうも・・・」と不満そう。日本語版ではカットされていますが,大実験以外の場面で塩入れから出している塩はサラサラの方を使っています。
写真が実験に使われた,由緒正しい(?)日本の食塩。 となりには,ブーケが置いてあったりします。大科学実験の実験室でなければ,あり得ない組み合わせです。
大実験では結晶が成長する様子を見るために,固定カメラで5分に1コマ撮影して,あとでそれをつなぎ合わせて動画のように見せています。カメラが動いては台無しですから,周囲は撮影期間中ずっと「立ち入り禁止」。大げさすぎるほどの厳戒態勢を敷いていたそうです。
「だって,森さんとか,のぞきに来そうじゃないですか。で,コードに足を引っかけたり・・・」(寺嶋さん)
これを聞いた“森さん”こと森美樹チーフプロデューサー,しっかりきっちり見に行き「立ち入り禁止」の紙に「森参上!」と書いてきたそうです。(参上!ってどこの暴走族?)
カメラを回収した寺嶋さん, 撮れ具合を見ようと, 最後に撮った1コマが表示されているところから最初の1コマ目を表示させたときに,ドレスの位置が「がくんと大きく動いたんですよ」(寺嶋さん)。
コマ撮りをすべて見れば,塩の結晶が成長するにしたがって,ドレスが重みで沈んでいることがわかるのですが,最後の1コマと最初の1コマの落差を見た寺嶋さん「ああ,やられた!」と思ったそうです。「誰に」「何を」やられたと思ったのか・・・聞かずもがなです。