きょうの日経サイエンス

2010年11月3日

さわらずに動かせ

 

NHK大科学実験ファンの皆さま,こんばんは。
1カ月のお休みを経て,今晩から新しい回の放送が再開されます。今晩のタイトルは「さわらずに球を動かせ」。

 

ん? 春にもらった年間放送計画とタイトルが違う・・・。あれ? 中味もずいぶん違う。

 

「最初はボールを蹴って,遠くまで飛ばす方法を考えていたのですが,それだと結局,最後は(蹴る人の)力の差になるので・・・」(森美樹チーフプロデューサー)

 

結局,ずらりと並んだ球の列に,一方から球をぶつけ,他方の端っこの球を動かす,という形になりました。そうなった後も,紆余曲折は続きます。

 

「最初はビー玉でもいいかなと思ったんですが,小さすぎて,全然映らない」(黒木大紀ディレクター)

 

テレビの人たちが真っ先に考える「見映え」を重視すると,球は大きく,たくさんの方がいい。ぶつける方の球も,鉄球を時速100kmくらいにしたほうが大実験らしい。そうなると,人力では無理だから・・・。

 

「高速で止まるボールの回の(ピッチングマシン)メーカーさんに電話で聞いてみたんですよ。鉄球を時速100kmで飛ばせますかって。そしたら,鉄の球を100kmで発射させたら銃刀法違反になりますって言われて」(黒木さん)
黒木さんが森さんにそう報告すると,「ほかの業者さんに相談してみたら? 大丈夫かもよ」と言ったそうです。でも,銃刀法ですよ! NHK教育番組と銃刀法ほどミスマッチなものはありません。

 

そこで「じゃあ,鉄の振り子にしたら? あれなら100kmになることはわかったんだし」と言ったのはエグゼクティブディレクターの羽岡伸三郎さんです。 

 

でも,この回は“どーんと予算をかけて作る回”ではないので,このアイデアは見送られました。

※なお,銃刀法は刀剣や金属性の球を発射できる銃器類(圧縮ガスを使ったものを含む)を許可なく所持してはイカンよ,という内容のようです。無許可だと,実際に発射させなくてもダメみたいです。すみません,このへんは専門外,詫摩はまったくの素人です。

 

球の反発係数の高さや500?1000個を集められるという点から,ビリヤードの球になったそうです。
「色もきれいだし,ぶつかった時の音もいいよね?」(森さん)
同意。
でも,あの音が出るってことは,それだけでエネルギーが失われて,最後の球は動きにくくなっているんだって,気がついてます?

 

ビデオを見ながら「実験レンジャーが慣れてきた今の時期だからこそできた」というのは総合演出の寺嶋章之さんでした。球の並べ方の手際やトラブル慣れを指しているのですが,他にも・・・。

 

「見て下さいよ,この実験レンジャーたちのポーズ。演技指導しなくても,ちゃんと全員が“黒木座り”になるんだからたいしたもんだ」

 

これには笑っちゃいました。4人の黄色い実験レンジャーが期せずしてそろって“黒木座り”をしている写真が,番組公式サイトのこの回でご覧になれます。ぜひ,見て一緒に笑いましょう。