きょうの日経サイエンス

2010年9月22日

一同呆然,責任者大喜び(←おい!)

 

 今晩のNHK「大科学実験」は「静電気でお絵かき」。

 

 今回も予備実験を何度も繰り返しましたが,使用する紙を防湿紙にすればよいとわかってからは,毎回,毎回,かなりうまく行ったそうです。防湿紙は,読んで字のごとく,湿気を吸わない加工がされた紙のことですね。(今のコピーやレザープリンターはかなり進化しているので,普通紙でも平気ですし,番組にあったようなトナーを振る作業も必要ありません)。

 

本番では3人が同時にそれぞれが実験レンジャーを描いていますが,最後の予備実験では,1人分の絵を1人が描き,これもばっちりだったそうです。

 

なので,本番で絵が出てこない時には,皆,呆然。
何が起きたのか,本当にまったくわからなかったそうです。

 

これに喜んだのは「ハプニングがないとつまらない」と言い切るチーフプロデューサーの森美樹さん。彼女は外せない用事があって,いったん,収録スタジオからオフィスに戻ったそうですが,
開口一番「失敗してたよ?」とニッコニッコしていた
・・・と,当時オフィスにいたスタッフが証言してくれました。

 

喜ぶ責任者はさておき,現場は呆然です。
番組公式サイトにも少し書かせていただきましたが,この窮地を救ったのが帯電ガンメーカーの技術者さん。

 

カメラに写らないように後ろで収録を見ていましたが,このときはすすっと前に出て,いち早く原因究明に乗り出しました。これが,あまりに自然の流れだったので,そのまま,「原因を調べ,対策を練る」場面の収録となり,改良を施すシーンの収録となったそうです。

 

大科学実験では,台本に登場する特定の人物以外はすべて実験レンジャーの服装をするという不文律があります(あ,詫摩が知らないだけで,明文化されているかも)。
カメラマンも映ってしまう可能性があるので撮影中はレンジャーの格好をしていますし,ディレクターも同様です。
逆にいうと「実験レンジャーの衣装を着ていない人は,ここから先は入っちゃダメ」という見えない線が収録現場にはあります。

 

で,このときの帯電ガンメーカーの技術者さんですが,ハプニング発生に思わずその“線”を越えてカメラの中に入ってしまいました。
もちろん,私服のままです。
カメラは回っています。
そのことに気がついた番組スタッフが,あわてて「せめて帽子だけでも」。

 

でも,あとでビデオを見ると,この技術者さんは私服とはいえ“技術者の誇り”ともいうべき,作業服姿だったんですね(実力の伴った方の作業服姿ほどかっこいいモノはないと,詫摩は個人的に思っております)。

 

日本版より3分ほど長い国際版では「原因を調べ,対策を練る」場面に,作業服+黄色のレンジャー帽子の姿がしっかりと映っています(残念ながら日本版ではチラリとしか映っていません。探してみてください。画面の左上のほうです)。

 

これを見せていただいたときの詫摩の感想は,「これ,レンジャー帽子をかぶらない方が違和感なかったんじゃないの?」
これには,制作スタッフの方々も苦笑い。

 

仕方ないですよね。思わぬハプニングで,みんな動揺していたのだから。
責任者は喜んでいたけれど・・・。

 

NHKエデュケーショナルの「大科学実験」のサイトはこちら