きょうの日経サイエンス

2010年8月18日

可憐な癒し系もいます

 

毎週水曜日にUPするNHK「大科学実験」の裏話では,プロデューサーさん,ディレクターさんから伺ったお話を紹介してきました。今回は,前回の羽岡さんに続き,上の2つ以外の役の方を紹介します。

 

羽岡さんは企画段階での計算から予備実験まで科学的なことなら何でもこなす(実は実験レンジャーとして出演もしています)方ですが,番組には毎回,その回の進行を取り仕切る役目の方がいるそうです。実験に必要な器具や小道具を集めたり,予備実験もすれば,当日の進行もこなします。

 

毎回,交替で担当するので,この役割の方は何人もいるのですが,今回はその中からクジラやラクダの回などを担当した鈴木文野さんを紹介します。「ずっきー」(ズッキーかな?)などと呼ぶ人もいますが,「この人をそう呼ぶとは・・・」と思うほど可憐な女性です。

 

われわれ雑誌や新聞の人間もそうですが,マスコミの人間はテンション高めの早口な人間が多いように思います。テレビの制作も同じだったようで,チーフプロデューサーの森美樹さんも総合演出の寺嶋章之さんも,テンション高めです。そんな中,“なごみ系”の鈴木さんは話し方もゆっくりで,なぜかちょっと上目遣いで相手を見ます。外見も癒やし系,なごみ系という言葉がぴったり。

 

鈴木さんはもともとは美術系の方ですが,予備実験をこなしているうちに,実験で頻繁に使う「ロープ」「テープ」「カラビナ」に関しては,もはや専門家。どんな実験をしたいかによって,「その実験なら,ロープはこれで・・・」と出てくるそうです。この手の“その道のプロ!”はほかにもいますが,ふんわりした雰囲気の鈴木さんに言われると,違和感ありまくりです。

 

ラクダが卵に乗る回では,卵にダメ出しをしたのも鈴木さんだそうです。卵の強度はバラツキが大きく,弱いものもあるのですが,鈴木さんが「これはダメ」「これは弱そう」とダメ出しをした卵は本当に弱かったそうです。

 

そしてすごいのが鈴木さんの予備実験リポート。写真やレイアウトが綺麗なのは美術系だから,まぁおくとして,どんな材料をどう置いたのか,何を使ったのか,実験開始からどのくらいの時間経過後に何がどのように起きたのかなど,実に微に入り,細に入り,こと細かに記載してあります。

 

1カ所だけ,実験レポートに「?してしまった」と感情の入っている表現を見つけたときには,むしろホッとしたくらいです。

 

職場にこういう可憐な癒し系が1人いるといいなーっとつい思ってしまいます(日経サイエンスの編集長も“癒しボイス”などとラジオで言われましたが,可憐さはまったくないです)。

大科学実験は非常に個性豊かな方々が作っています。番組も,この裏話ブログもまだまだ続きます。

 

NHKエデュケーショナルの「大科学実験」のサイトはこちら