きょうの日経サイエンス

2010年7月1日

ガラスのウナギ

 最近,街角の和食系ファストフード店でウナギの蒲焼きの幟(のぼり)をよく目にするようになりました。実際,ウナギといえば,こんがり焼けた蒲焼きをイメージする人がほとんどでしょう。うなぎ屋さんの店先で,丸い水槽の中でうごめく生のウナギを見る機会も減ったような気がします。私自身,ウナギといったら,それくらいの知識しかなかったものなので,神奈川県の相模川河口でのウナギ稚魚採集調査の同行取材では,我がウナギ観が根底から覆されました。

 

 調査は厳冬期の2月の新月の真夜中に行われたのですが,採集された稚魚は全長5cmほどで,姿形はまさしくウナギなのですが,黒い目玉をのぞくと,あとはガラスのように透明で,光をあてると虹色に輝くのです! 日本ではウナギの稚魚をシラスウナギと呼びますが,英語では「グラスイール(ガラスのウナギ)」とまさしくずばりの名前。調査をしながら,最新のウナギ研究の話を東京大学の塚本勝巳教授の研究室の方にうかがうと,驚くような話ばかりで,まったく眠気に襲われることがありませんでした。

 

 現在発売中の最新号では,塚本教授らによって明らかになってきたウナギの生活史の最新研究成果などをたっぷりお伝えしています。もうすぐ土用の丑。記事を読んで蒲焼きを食せば,今までよりもさらに深くウナギを味わえること間違いなしです。(中島)