きょうの日経サイエンス

2010年6月23日

NHK「大科学実験」の誤算

 

 

今晩のNHK「大科学実験」は「太陽で料理しよう」の再放送です。
ですが,すみません。<(_ _)>
この回は,あまりウラ話がありません。<(_ _)>

お話しを伺いに行ったときに,苦労した「空飛ぶクジラ」の回に時間を割きすぎて,この回の話を伺う時間がなくなったというのが実態ですが,撮影が比較的すんなり進んだようでもあります。人間,やはり苦労した方が言うことに面白味が出てくるみたいです(その時は大変ですけれどね)。

代わりに,というわけではないですが,番組全体のお話を少し。

この番組のチーフプロデューサー・森美樹さんはドキュメンタリーを手がけてきた人です。そしてNHKでは伝統的にドキュメンタリーでは映像を“いじらない”そうです。また,森さんは収録中にハプニングが起こるのを「むしろ楽しむ」タイプの人です。「何かハプニングがないとつまらないでしょう」とまわりに同意を求めたりします。

一方,総合演出の寺嶋章之ディレクターは,CMや音楽のビデオクリップを得意とする制作会社の人。当然,あらかじめ,とことん作り込みます。

このように森さんと寺嶋さんでは,それまでの撮ってきたスタイルがまったく違うので,毎回かなり「バトルがある」(森さん)のだとか。

「撮影のまさにその時になって,『これ,いらない』とか『あれも撮って』とか言い出すわけですよ」とは,寺嶋さんが森さんを告発(?)しての言葉。「こっちにしてみれば,設計図通りに家を建てている最中に『その柱,いらない』って言われているようなものです。柱いらないって,そう言われても……」。

ただ番組のコンセプトというか,ベースとなる“哲学”はしっかりと共有しています。
いわく「テレビは映像で語るメディア。セリフではない
いわく「情報過多にすると残らない」
そして「あえてやらずに,余白を残しておく
これは,親切に全部を説明するのではなく,自力でたどり着いてもらう部分を残しておく,という意味です。
不親切と言えば不親切な作り手たちですが「自力でたどり着けた喜びは大きいし,絶対に忘れない」から。

だから,特別番組が作られたり,3本一挙の再放送が行われるなど「意外に評判が良かったのは,誤算」(森さん)だったのだそうです。
──『大科学実験』はこういう,いささかクセのある作り手が作っている番組です。

(寺嶋さんは制作会社ピヨゴンピクチャーズの代表でもありますが,「うちはチャレンジングというか,わざわざイバラの道を選ぶような“面倒な人(人材)”を集めています」とまで言っています)。

NHKエデュケーショナル『大科学実験』はこちらから