きょうの日経サイエンス

2010年6月23日

あの黒い生き物は?

 

ジュンク堂書店新宿店さんで日経サイエンスのブックフェアを開催中です。

 

さて,編集部・詫摩が店頭にお邪魔して,何か必要な物はないかと理工書担当のAさんにお伺いしたところ,「あの?,よかったら,この子の説明文を・・・」と言って,指さしてくださったのがこの札の黒い生き物→

 

 

 

 

 

←コイツです。
はい,アマミノクロウサギです。Aさん! ありがとうございます! アマミノクロウサギの説明文とあらば,10字から10万字まで,詫摩は何文字でも喜んで対応いたします。

といっても,書棚に置いていただくのに10万字はさすがに自重して,QRコードからこちらに来ていただくことにしました。あ,いえ,ここでも1000字に自重します。

 

 

このイラストはかなりデフォルメされていますが,アマミノクロウサギの特徴をよく捉えています(イラストは吉田静佳さんです)。アマミノクロウサギの特徴は,ほとんどすべて頭に「ウサギのくせに」がつきます。
ウサギのくせに,耳が短い
ウサギのくせに,足も短い
ウサギのくせに,ジャンプ力が・・・
ウサギのくせに,鳴き声でコミュニケーションをとる
ほかにも,「頑丈な爪がある」「森にすむ(普通,ウサギは草原や岩場,半砂漠など乾いて開けた場所にいます)」「1回に1匹の赤ちゃんしか産まないらしい」などなど。

 

なんで,こんなに変(←ほめ言葉)なのかというと,少なくとも理由の一部は「原始的な特徴が残っている」から。耳の長さは化石には残らないのでわからないのですが,ウサギだって最初から今の“ウサギらしい姿”をしていたわけではないはずです。現存するウサギのなかで,最も原始的な姿を残しているとされるのが,アマミノクロウサギです。

 

アマミノクロウサギは日本が誇る国の特別天然記念物。日本で天然記念物が最初に制定されたときに,ちゃんとリスト入りしていた,筋金入りの天然記念物です〔1921年(大正10年)。1963年に特別天然記念物に〕。世界でも奄美大島と徳之島にしかすんでいません。

 

奄美大島も徳之島ももともとは肉食獣がいませんでした。子ウサギの時代に毒蛇ハブや猛禽類に襲われることはありますが,大きくなれば天敵もいません。なので,動作がのろくてもNo Problemでした(ちなみに,赤ちゃん時代はお母さんが掘ってくれたトンネルの中で過ごします。その入り口はハブが入ってこないように,母ウサギが念入りに封印します)。
ところが,今はハブ退治のために導入されたマングースや半ば野生化した野良猫などに狙われ,数が減ってしまいました。交通事故も多いです。

 

数が少ない上に,とっても変なウサギであるため,哺乳類学者の間では世界的にけっこう有名なウサギです。
英国エリザベス女王の夫君であるエジンバラ公が1984年に来日したときに〔エジンバラ公はWWF(世界自然保護基金)の初代総裁です〕「アマミノクロウサギを見たい」と仰って,警備の方を困らせたというエピソードもあります(ハブがいるからです。でも,夜に林道に車を出して,ご覧になったそうですよ)。

 

ああ,自主規制の1000字を大幅にオーバーしてしまった・・・。もしよろしければ,いずれ続きを。(詫摩)

 

 


ジュンク堂書店 新宿店 6階カウンター前にて開催中!
6月1日から7月下旬まで(期間中は無休です)
住所:東京都新宿区新宿3-29-1  新宿三越アルコット
営業時間 11時?21時

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