きょうの日経サイエンス

2010年6月16日

あの泡は?

 

今晩は「コップは力持ち」の再放送。大気圧を利用して体重120kgのお相撲さんを吊り下げる実験です。

前回,NHKエデュケーショナルの森美樹チーフプロデューサー(CP)がこの実験で使う直径16cmのコップ(カクテルグラス風の特注品)を「普通の大きさですよ」と言い切ったことをネタにしましたが,それは鍋のサイズだと書いたことに彼女は納得をしていません。私がNHKに行くたびに,居合わせた制作スタッフに「鍋じゃなくて,コップだよねぇ」と同意を求めます。あいまいな笑みを返すだけのスタッフもいますが,あろうことか同意するスタッフもいます(例えば寺嶋章之ディレクター)。
困った人たちだなぁ?。自宅の流しや洗いカゴに直径16cmのカクテルグラスが入っているところを想像してほしい。少なくとも詫摩の自宅の洗いカゴには,2つめは斜めに重ねないと入らないです(この1文のためにちゃんと測りました!)

バカ話はこのくらいにして,真面目な(?)ウラ話を。

番組にも映っていますが,水を入れて逆さにしたコップの蓋を引っ張ると,細かな気泡が出てきます。1回目の時にどこかのブログ(ツイッターだったかも)で,「フックのところから空気が入っているのではないか?」と書いている方がいらっしゃいましたが,外から空気が入り込んでいるのではありません。もし,隙間ができて空気が入ったら,蓋は派手に外れるはずです。あれは,コップの中が引圧になることで,水に溶け込んでいた気体が出てきたんです。

この泡はたしかにわかりにくいので,制作スタッフの中でも議論があったそうです。あらかじめ水を沸騰させて気体を飛ばしておけば,泡は少なくなるはずですが,結局は「泡が出るのが自然の姿なのだから」ということでこのままになったそうです。泡が出る方がドキドキ感もあって,絵になりますしね。

番組ではコップの直径が10cmのときに47kg,14cmだと102kgまで吊り下げられることを試し,それを大気圧で説明していますが,実際に何kgまで吊り下げられるかを決めているのは面積だけではありません。中の液体(この場合は水)の吸着力や表面張力も関係しています。この点に関しては,前回4月14日の拙文におよせいただいた野呂茂樹先生のコメントをぜひお読み下さい(野呂先生は,科学工作や科学マジックなどの考案者として知られている方です。コメントをいただいたときは,ビックリしました。ありがとうございます)。 <(_ _)> 

番組中では真空ポンプで周りの空気を抜いていくと,蓋が外れる場面も映しています。このとき徐々に空気を引くと,蓋はじわーっと外れるそうです。その映像もちょっと見てみたかったですね。

NHKエデュケーショナル『大科学実験』はこちらから