きょうの日経サイエンス

2010年6月2日

1.7kmも3.4kmも同じ

 

NHK教育テレビの『大科学実験』は今週からしばらくは再放送が続きます。とあるブログに「これまでの9回で終わりなのか」とありましたが,ご心配なく。ちゃんと26回あります。4/29の特別番組で収録の様子を紹介していたゾウやラクダが登場する回など,むだに大がかりな実験がまだまだ続きます。

 

今日の放送は第1回目の『音の速さを見てみよう』の再放送。86人が20m間隔で1.7kmにわたって直線に並び,音が聞こえたら手にした旗を上げるという実験です(番組の動画はNHKエデュケーショナルのサイトから期間限定でご覧になれます。また初回放送時のこのページでの裏話もぜひどうぞ)。

 

 ご存じのように音の速さは秒速約340mです。なので,スタッフは最初3.4kmを考えていました。3.4kmの直線など,日本では大変そうです。
「鹿島にあったんですよ。茨城の」と話してくださったのは総合演出の寺嶋章之さん。3.4kmとなると,撮影の許可を取るべき相手も複数にわたるので大変だったそうです。「スタッフが許可を取りに行っては『300m,OKです』って感じに」。
許可のおりた距離はどんどん長くなるも,最後の最後でダメに。

 

そりゃまた,なぜ?

 

「交通量が多いので,道路を止めるわけには行かなかったんです。代わりに道路の脇で撮るつもりだったんですが……」とNHKエデュケーショナルの森美樹チーフプロデューサー。
絵になんないんですよやっぱり道路にびしっと一直線に並ばないと」(寺嶋さん)

 

寺嶋さんはテレビCMやミュージシャンのビデオクリップなどをおもに手がけている制作会社ビヨゴンピクチャーズの方。「絵」にはとことん,こだわります。

 

結局,3.4kmの代替地は見つからず,番組にあった1.7kmの東京・臨海エリアに。

 

森「でも,同じでしたね。3.4kmも1.7kmも
寺嶋「同じだった,同じだった。あれ,1.7kmにしてよかったよね」
詫摩「1.7kmと3.4kmが同じ?」
寺嶋「目で見えない距離は感覚的に同じなんですよ」
森「移動していても,わからないですよ。『あれ? 1.7kmにしたはずだよなぁ。ずいぶん遠いなぁ』って」

 

この回にはヘリコプターからの空撮を行っていますが,実はこの空域,羽田空港の官制域と隣接しています。ヘリに乗った寺嶋さんは撮影のベストポイントを探して,パイロットに無茶な注文もしたそう。パイロットさんは羽田の管制官と英語でやり取りしつつ,すぐ側で叫ぶ寺嶋さんの要望も聞き……。大変だったでしょうねぇ。

首都圏にお住まいの方にはピンとくるかもしれませんが,あの実験場所は対岸にディズニーランドがあります。
「ディズニーの側からだと,1.7kmを丸々ばっちり撮ることができるんです。これはいいぞ!絵になる!って思ったんですが」と寺嶋さん。「旗が小さすぎて,全然,ダメでした」。
旗の大きさを5m四方くらいにしないと,とても「絵にならない」のだとか。
横幅が1.7kmの絵にしようとしたら,旗が小さすぎるって,事前にわかりそうな気もしますが・・・。
森&寺嶋「1.7kmを1枚の絵に収めようなんて,普通は考えないですから!!

1.7kmまでまだ1/3以上も残している980mでさえ,↓こんな感じ

 

 

普通は考えもしないことをやってみる──実はこれが『大科学実験』のキーポイントなんですよね。
次週はクジラです!すごーく,熱いです!

 

今回の画像はNHKエデュケーショナルにご提供いただきました。コピペはしないで下さいね!