きょうの日経サイエンス

2010年5月26日

陰になって影が見えない!

 

日ざしの強い季節になりました。お肌にシミができるのが怖くて(手遅れ?)なるべく日陰を歩くようにしていますが,この日陰が何の影(例えば“どのビル”の影)なのか,普段あまり考えません。7時間にわたって横浜マリンタワーの影を追跡するという,今回も無駄におおがかりなNHK『大科学実験』では,日頃あまり意識しない影に注目したかったのだそうです。

 

番組にも映っていましたが(NHKエデュケーショナル『大科学実験』のサイトから動画が見られます←期間限定),当のタワーのてっぺんにもスタッフがいて,撮影するだけでなく,実験レンジャーたちに影の場所を教えることもしています。影の位置にたどりついた実験レンジャーたちを双眼鏡で見ていると「あれ,何か変だぞ,何か変だぞ」と思ったそうです。このお話は,番組の総合演出をしているピヨゴンピクチャーズの寺嶋章之さんにお聞きしました。

 

タワーにいた人たちが感じた違和感の正体は「みんなの影が見えない!」

 

どういうことか,すぐにわかりますか? 詫摩は一緒に話を聞いていたNHKエデュケーショナルの森美樹さんとともに,一瞬,きょとんとしてしまいました。

 

こういうことです。実験レンジャーたちはタワーの影を追うので,太陽・タワー頂上・自分が一直線に並ぶ位置にいます。このため,タワー頂上から実験レンジャーを見る視線は太陽光のラインとほぼ一致します。実験レンジャーの影は本人の後ろに伸びていますが,タワーの人からは陰になってしまい,その影が見えないんです。

 

この話を聞いたときに,詫摩は2つのことを考えました。
1つは,寺嶋さんはやはり映像の世界の方だなぁということ。おそらく,実験の時に私がタワーにいたとしても,影が見えないことに気がつかなかったと思います。私だっていつも影を見ているはずですが,ふだん意識はしていません。なので,影が「ない」ことに気づくかどうか,あやしいもんです。

 

もう1つは「お日さまは影を見たことがないんだ」
常に自分が唯一の光源だとしたら,影を見ることはなく,影の存在を知らないはずです(もちろん,実際には月明かりや人工照明などがありますが)。

 

これを聞いたときの,森さんのコメントがふるってます。
「それって,お日さま,良くないですよね,物事のカゲの部分を見たことがない,知らないっていうのは」
正論です。正論だけれど・・・「物事のカゲ」って,影じゃなくて,陰だと思う。リアルタイムでは,お日さまじゃなくても陰は見えないですよ・・・。想像するしかない。

 

 

さて,3/31(水)から放送の始まったNHK教育テレビ『大科学実験』では,しばらくは新しい番組の放送はなく,再放送となります。この欄でも,再放送分の内容に合わせながら,作り手の方々にフォーカスを当てていこうかなと考えております(今回初登場の寺嶋さんをはじめ,皆さん,個性豊かで,熱くて,クールで,面白い! 番組が面白くなるはずです)。よろしく,おつきあいのほどを。

NHKエデュケーショナル『大科学実験』のサイトはこちら!