SCOPE & ADVANCE

1ギガ目指しGig.U始動〜日経サイエンス2011年12月号より

米国のネット接続を高速化する大学間プロジェクト

 

 ことインターネットの速度に関しては米国は他国に後れを取っている。ウェブ調査会社アカマイ・テクノロジーズの最近の報告によると米国は14位で,首位の韓国に大きく水を空けられているうえ,香港,日本,ルーマニアなどの後塵を拝している。
 米国でブロードバンド高速化の障害になってきたのは「誰が勘定を持つのか」という問題だ。通信会社は高速化の需要が確かでない限り,設備投資には消極的。消費者はというと,電子メールとソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用で満足していて,これらは通常のブロードバンドで十分なので,より高速のサービスに追加料金を払う気があまりない。
 例外は学問の府だ。大学や研究機関は常に高速データ伝送を求めている。「ギガビットの速度が実現しなければ我が国の研究者は置いてきぼりを食うことになるだろう」と,米連邦通信委員会(FCC)の元政策顧問コーン(Elise Kohn)はいう。コーンはFCCの「全米ブロードバンド計画」(すべての米国人にブロードバンド接続を利用可能にするよう議会が求めた構想)の策定に携わったレビン(Blair Levin)とともに,全米29の大学を主導して毎秒1ギガビットのネットワークを試験的に構築しようとしている。「大学次世代革新プロジェクト」,一般には「Gig.U」と呼ばれ,デューク大学,シカゴ大学,ワシントン大学(シアトル),アリゾナ州立大学などが参加している。

 

首位の韓国に追いつけ
 現在,米国のインターネット接続速度は平均で毎秒5.3メガビットなので,Gig.Uははるかに高速になる。高精細ムービー2本分に相当するデータを1分未満でダウンロードでき,ストリーミングビデオを障害なしで見られる。ちなみに韓国の接続速度は平均で毎秒14.4メガビットで,2012年までに全世帯が毎秒1ギガビットで接続できるようにする計画になっている。(続く)

 

続きは現在発売中の12月号誌面でどうぞ。

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