カテゴリ : 2022年3月号
反乱を抑える新たな手立て
自己免疫疾患の治療ではこれまで,悪さをする免疫系を力ずくで抑えつけて服従させるような強引な戦略がとられてきた。だが,そうした方法は体の正常な機能にも悪影響を及ぼし,元の病気よりもひどい状態を招く場合がある。最も代表的な治 … 続きを読む
女性に多い理由 腸内細菌,ホルモン,X染色体が影響
ノースカロライナ州チャペルヒルに住むシー(Melanie See)に奇妙な症状が初めて出たのは2005年のことだった。突然,大量の汗をかくようになり,体重が10ポンド(約4.5kg)も減少した。寝室から居間のソファまで移 … 続きを読む
なぜ自分に牙を剥くのか 免疫が裏切るメカニズム
エイジリク(Decio Eizirik)が1980年代に1型糖尿病患者の治療を始めたとき,この病気の原因はてっきり免疫系の暴走にあると思っていた。この病気の患者は重要なホルモンであるインスリンが欠乏しており,それは体内の … 続きを読む
データで見る自己免疫疾患
ドイツの免疫学者エールリヒ(Paul Ehrlich)にとって,外来の病原体から身を守るために進化した免疫系がその生物自身を攻撃するという考えはナンセンスに思えた。後にノーベル生理学・医学賞を受賞するこの免疫学者は190 … 続きを読む
特集:激化する気象災害
地球温暖化に伴う豪雨などの極端気象がますます深刻化している。気温と海水温が上がって大気に多量の水蒸気が含まれるようなったためだ。水蒸気の熱エネルギーが台風など大型の低気圧を急速に発達させる原因になっている。水蒸気はそれ … 続きを読む
燃えるアラスカ 北極圏に広がる森林火災
2019年6月5日,異常に早い春の嵐による落雷のため,アラスカ州南部のキナイ国立野生生物保護区の奥で火事が発生した。雨の多かった春が5月末の高温によって一変し,森の地表面が急速に乾燥した。アラスカ州スターリングの北東約8 … 続きを読む
頻発する豪雨・豪雪 温暖化で水蒸気が大暴れ
2021年の夏は,地球温暖化に伴って豪雨がいかにひどいものになるかをまざまざと見せつけた。 7月中旬,ドイツ西部とベルギーを襲った嵐は2日間に約200mmの雨を降らせ,洪水でバラバラに壊れた建物が川と化した村の通りを流れ … 続きを読む
太陽になりそこねた星 褐色矮星
宇宙の観測技術が発達して初めて,夜空の暗闇の中から姿を現すようになった天体がある。波長が長すぎて人間には見えない赤外線でかすかに光る褐色矮星だ。 大半の恒星は,水素が融合してヘリウムになる核融合反応をエネルギー源としてい … 続きを読む
極超音速ミサイル 無益な開発競争
米国とロシア,中国がマッハ5を超えるスピードで巡航飛行し迎撃や阻止が困難とされる「極超音速兵器」の開発と配備を競っている。北朝鮮は先ごろ発射したミサイルがこの部類だと主張している。計画の推進者たちは極超音速兵器が信じられ … 続きを読む

日経サイエンス 2022年3月号
特集:自己免疫疾患 外敵から守ってくれるはずの免疫機構が,突然,自分の体を攻撃し始める──。自己免疫疾患は,どこまで解明されているのだろうか。 反逆する体 J. フィッシュマン 理解されない苦しみ ある患者の闘い M … 続きを読む