カテゴリ : 2021年12月号
多様な変異ウイルスに効く抗体
新型コロナウイルス感染症は,流行当初に比べて患者の治療に使用できる薬の種類が増えてきた。国内でも,ウイルスに直接くっついて活動を封じる中和抗体薬が今夏より本格的に使用され始めている。効果の高い中和抗体薬が実現した背景には … 続きを読む
タンパク質工学の新潮流 ワクチンや抗体医薬を自由に設計する
2020年4月のある金曜日の夜遅く,ウォールズ(Lexi Walls)はワシントン大学(シアトル)の研究室にひとり居残り,これまでの人生で最も重要な実験の結果を落ち着かない気持ちで待っていた。コロナウイルスが専門のこの … 続きを読む
特集:新型コロナ 次の治療薬は
2021年9月に,日本では2例目となる新型コロナウイルス感染症向けの中和抗体薬ゼビュディ(一般名ソトロビマブ)が承認された。新型コロナの流行が始まって1年半ほどで効果の高い抗体医薬が次々と使えるようになった背景には,2 … 続きを読む
大規模なつながりは突然に ネットワークの相転移を語る数理
テキストメッセージの「送信」をタップしたら,そのメッセージは自分のスマホから友人のスマホに直接送られると思われるかもしれない。実は,メッセージは通常セルラーネットワークやインターネットをはるばる伝わって受信者のもとに届い … 続きを読む
進化続ける分子の精密合成 自己組織化で創るナノ空間
机の上にばらまいたジグソーパズルのピースが,もし最も居心地の良い状態になるまでランダムに動き続けるとしたら何が起こるだろうか。たまたま他のピースとつながったとき,形が合わなければやがて外れるが,ピタリと合ったら容易に離 … 続きを読む
感覚経験は脳のどこで生まれるのか 電気刺激で意識を探る
次の体験談について考えてみよう。 ●数km先に嵐が見え,同じ方向にある丘を越えなくてはならない。「嵐の中,果たして丘を越えられるだろうか」と自問する。 ●黒い背景に白い点々が見え,夜空の 星を見上げているような感じだ。 … 続きを読む
宇宙膨張の歴史を明かす銀河地図
ダグラス・アダムスのSF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』(風見潤訳,新潮社)にあるように「宇宙は大きい。(中略)にわかには信じられぬほど広く,大きく,茫漠としている」。私たち著者を含め多くの天文学者はそんな宇宙のできる … 続きを読む

日経サイエンス 2021年12月号
詳報 ノーベル賞 温暖化予測で真鍋博士らに物理学賞 物理学賞 気候変動の「複雑な正体」に挑む 吉川和輝 協力:野沢 徹 数百年後は“ジュラシック・パーク”(再録) 語り:真鍋淑郎 乱雑さに潜む法則を解明 古田 彩 … 続きを読む
熱くなる極北のるつぼ スヴァールバル諸島からの報告
温暖化が地球で最も急速に進む北極圏で,人々の暮らしが実際に大きく変わろうとしている。北極圏にあるスヴァールバル諸島はノルウェー領ではあるが条約によって関係国に開かれており,最大の町ロングイェールビーンには各国から多くの … 続きを読む
賢い農法で地球を救う
1930年代に米国中西部を襲った砂嵐「ダストボウル」は土壌劣化が招く破滅的な結果を世に示した。それまでの数十年に及ぶ農耕によってグレートプレーンズ(中西部の大平原)の肥沃な土が剥ぎ取られ,干ばつの影響を受けやすくなって … 続きを読む