カテゴリ : 記事
コロナ禍で増えた心の病 モラルインジャリー
「モラルインジャリー(道徳的負傷)」とは良心に大きく反する状況や,自身の核となる価値観を脅かす状況に直面したときに生じる特別なトラウマを指す。この問題に苦しむ人々は,罪悪感や怒り,そして自分自身や他者を許せないという痛切 … 続きを読む
子に引き継がれる心の傷
2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センタービルが恐怖と煙の中で崩壊した後,地元のマウントサイナイ医科大学の医師らは,この地域の有害物質を浴びた人々に検査を実施した。受診者の中には187人の妊婦がいた。その多くは … 続きを読む
特集:トラウマと向き合う
トラウマが引き起こす心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する新たな知見が注目されている。DNAの塩基配列は変わらぬまま細胞レベルで遺伝子の働きを制御するエピジェネティクスという機構が,親のトラウマ体験の影響を子に伝える … 続きを読む
暗黒物質の正体 天体観測で絞り込め
「暗黒物質問題はどうしたら解決できると思いますか?」 私はベラ・C・ルービンからそう尋ねられた。「2009年天文学における女性会合」で彼女に紹介されてから数分後のことだった。 今となっては自分がどう答えたのか記憶にない。 … 続きを読む
鳥は鳥の歌をどう聞いているか
鳥の歌を聞くと,私たち人間はそれが音楽や言語と似ていると考えずにはいられない。ウタスズメの歌にはチチチ,ヒューという音をつなぐ独特のメロディーがあり,ハゴロモガラスの発声には文章に似た構造が含まれ,ノドジロシトドの歌は陽 … 続きを読む
昏睡状態の隠れた意識 「対話」で目覚めた患者
医療チームは病床のマズルケビッチ(Maria Mazurkevich)を囲んで彼女を注視したが,何の反応もなかった。30歳のマズルケビッチは7月のうだるように暑い日にコロンビア大学附属ニューヨーク・プレスビテリアン病院に … 続きを読む
京都帝国大学花山天文台(下)
京都大学の前身となる京都帝国大学が昭和初期に創設した花山(かざん)天文台は太平洋戦争を挟む約20年に及ぶ困難な時代を経て,第3代台長に就任した宮本正太郎のもと,太陽と月・惑星の本格的な研究をスタートさせた。研究グループは … 続きを読む
量子センサーで日本をけん引 世界で活躍する人材育成を夢に:波多野睦子
ダイヤモンドを計測に,日立・デンソーと連携 潜在力秘めた革新技術の実用化に使命 超高齢化社会見据え,量子技術の裾野広げる 世界の主要な国々が量子科学技術分野の研究開発に力を入れる。文部科学省も2018年に「光・量子飛躍フ … 続きを読む
なぜそこに何のために描かれたのか
ナスカの地上絵はエジプトのピラミッドなどと並ぶ古代文明の謎だ。抜けるような青空の下,太陽が照りつけ,乾いた風が吹き,草木も生えない真っ平らで広大な地面に描かれた50m超のサイズの鳥や魚,虫などの巨大な地上絵は,上空から眺 … 続きを読む
浮かび上がる古代アンデスの世界
世界遺産,南米ペルーの「ナスカの地上絵」が新たに168点,去る12月に発表された。動物などを描いた具象的な地上絵は約400点が確認されているが,今回分を含めてこのうちの約9割,358点を見つけ出したのが,ペルー政府の許可 … 続きを読む
特集:ナスカの地上絵 新発見!
南米ペルーの荒涼としたナスカ台地に描かれた動物などの巨大な線画は「ナスカの地上絵」として知られ世界遺産になっている。サイズは50m超もあり,上空から飛行機で眺めなければ視野に収まらない。ところが近年,山形大学ナスカ研究所 … 続きを読む
女たちが動かした経済
考古学の研究者たちはこれまで,主に男性の活動に注目し,女性は視野の外に置いてきた。バイアスが生じた理由は2つある。1つは,保存状態の良い手工品は石や金属などの無機物で作られており,その多くが狩猟など固定観念的に男性のもの … 続きを読む
『ヴィンランド・サガ』の歴史学 ヴァイキングの知られざる顔
角のついた兜を被り,手斧を握って,帆走する海賊船でヨーロッパ各地の街や教会を荒らし回る北欧出身の蛮族集団。わたしたち日本人にとってのヴァイキングのイメージは,このようなものではないだろうか。確かに,日本でも親しまれたルー … 続きを読む
特集:新たなヴァイキング像
近年の歴史学と考古学の進展によって,創作世界に登場するヴァイキング像が変化している。船で乗りつけて略奪する「北欧の蛮族」のイメージは,間違いではないが一面にすぎない。ヴァイキングは中央アジアから北米大陸まで広範囲に定住し … 続きを読む