カテゴリ : 2003年12月号
「浮き出る錯視」 不思議な感覚にあなたを誘う
今さら言うまでもなく,人が物を立体的に見ることができるのは,左右の目で両眼視をしているからだ。右目と左目の間には約6cmほどの間隔があり,左右で同じ物を見ていても,異なった角度で網膜に取り込んでいる。脳内でこのずれのあ … 続きを読む
特製絵ハガキ体験記 脳は見え方を模索する
左右の眼の網膜に映った画像のずれから,脳は奥行きや厚みの認識をしている。だが実際にはそれだけでなく,手前の物は大きく,遠くの物は小さく見えることや,陰影の付き方なども距離感や奥行きをつかむ手がかりにしている。これには学 … 続きを読む
特集:脳力増強の科学 究極の自己改善を目指して
1990年代は研究プロジェクト「脳の10年」が遂行された時代だった。多くの進展があった一方で,非常に大きな課題がほとんど手つかずのまま残った。「意識とは何か」という問いだ。この謎解きにはあと100年かかるかもしれない。 … 続きを読む
再生する力を引き出せ
約100年もの間,神経科学の分野では,次のようなことが定説として信じられてきた。「成人の脳は変化せず安定していて,一定の記憶と情報処理能力を持ったコンピューターのようなものだ」と。脳の細胞が失われると,それが担っていた … 続きを読む
頭の良くなる薬をつくる
記憶を増強し,集中力を高める薬が注目されている。米国のある雑誌はこのような薬を「脳のバイアグラ」と表現したそうだ。だが,こうした薬に期待するのは老化による記憶の衰えを心配する高齢者だけではない。睡眠障害の治療薬モダフィ … 続きを読む
画像が明かす学習の仕組み
人間の脳機能に関する興味深い成果が数多く出ている。その背景には,身体を傷つけずに脳の形態や活動を見る技術の発達がある。代表的な技術には,小川脳機能研究所の小川誠二(おがわ・せいじ)所長が考案した「機能的磁気共鳴画像装置 … 続きを読む
鍛えれば機能は高まる
経験に応じて脳は変化する――。今では当たり前に思えるだろうが,脳が自らを再構成する能力には,もっとドラマチックな意味がある。 手術や薬の助けを借りるまでもなく,脳は一生を通じていつでも大きく改変できる。必要となれば,脳 … 続きを読む
不安とうつを克服する
精神疾患患者の治療に対する社会の取り組み方は,ここ数世紀で大きく変わってきた。現在の最先端の治療法は,神経化学的作用を持つ薬だ。20~30年前には前頭葉前部を切断するロボトミーや,インスリンによる低血糖性昏睡を利用する … 続きを読む
脳の改良は許されるか
遺伝子の解析や操作に関する技術革命はさまざまな倫理上の議論を巻き起こした。脳科学についても同様の議論が予想される。 脳の疾患を改善するのは,どこから見ても正しい行為だ。それでも,遺伝子診断や遺伝子治療と同様の深刻な問題 … 続きを読む

日経サイエンス 2003年12月号
特集:脳力増強の科学 プロローグ 究極の自己改善を目指して G. スティックス 脳は依然として大きな謎だ。精神機能を向上するという夢への挑戦が続く。 ニューロン新生 再生する力を引き出せ F. H. ゲ … 続きを読む