
大規模言語モデルは大量のテキストから知識を学び,ニューラルネットに蓄えている。「ChatGPT」のブームで一躍有名になったこのAIは,ただ話し相手になるだけでなく,今後科学の諸分野に影響を及ぼすかもしれない。それは,このAIが言語に限らず,データの中に潜む複雑な関係性をベクトル形式で取り出すことに長けているからだ。すでに生命科学の分野ではタンパク質の設計にこのAIを活用する試みが進んでいる。神経科学においても,脳の高次機能を知るための強力なツールとなりそうだ。さらに,こうしたAIを用いた科学研究が盛んになると,科学における「理解」の意味や,研究活動の営みそのものが変容する可能性がある。
オウム以上フクロウ未満? 生成AIの“思考力” G. マッサー
大規模言語モデルとは何か 出村政彬
脳とAI 溶ける境界 大規模言語モデルが開く脳の理解
平 理一郎/丸山隆一
タンパク質を語る言語 出村政彬
「理解」はどう変わるか 瀧雅人氏に聞く
語り:瀧 雅人
SFでのぞくAIの未来
エンケラドゥス・プローブの憂鬱 柞刈湯葉