
「星空に望遠鏡を初めて向けたガリレオは木星の4つの衛星を発見,地動説の正しさを確信する契機となった。それから約400年,今度はそれらのガリレオ衛星を間近から観測することで,地球中心の生命観が大転換することになるかもしれない。新たな生命の発見だ。JUICE(ジュース)による探査が,その先駆けとなる可能性がある」。日本を代表するアストロバイオロジー(宇宙生物学)の研究者の1人で,プロジェクトサイエンティストとしてJUICE日本グループの科学部門をまとめる東京工業大学地球生命研究所長の関根康人はこう話す。
JUICEは欧州が主導し,日本が中核メンバーとして加わる木星の氷衛星探査計画。名称は「JUpiter ICy moons Explorer」に由来する。その探査機が南米ギアナからアリアン5型ロケットで4月14日に打ち上げられた。日本は探査機に搭載する10の観測装置のうち4つを欧州と共同開発し,2つの装置の開発を支援した。木星到着後は,これらを使って観測に主体的に取り組む。
ガリレオ衛星は4つあり,木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼ばれる。イオを除く3つの衛星は分厚い氷の層で覆われており,その下に海が存在するとみられ,「オーシャンワールド」と呼ばれる太陽系外側領域の天体グループの一角を占める。JUICEはエウロパとカリストに何回か最接近して観測した後,ガニメデの周回軌道に入り,この天体をじっくりと調べる。
協力:関根康人(せきね・やすひと)
東京工業大学地球生命研究所(ELSI)の主任研究者・教授。2022年4 月から同研究所長を務める。画面左手は氷衛星の海の実験装置。
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