
孤独な子ども時代から一念発起で英留学
ビジネスからサイエンスまで経験生かす
日本での信頼獲得が使命
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で最も名を上げた企業といえば,メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを実用化した米モデルナ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)だろう。創設から12年,最初に出した医薬品が100年に一度の疫病から世界中で大勢の命を救うことになった。医学博士として生命科学の最前線を歩んできた鈴木蘭美は2021年11月,新しくできたモデルナ・ジャパン(東京・港)の社長に就き,未来の医療を大きく変えうるmRNAという革新技術を啓発しようと,日々まい進する。 (文中敬称略)
21年の夏から秋に季節が変わる頃だった。鈴木のもとにSNSを通じ1本のメッセージが入った。送り主はヤンセンファーマ時代の上司でモデルナのチーフ・メディカル・オフィサー(CMO)を務めていたポール・バートン。「モデルナが日本拠点のトップを探している。やってみないか」。
続きは日経サイエンス2023年4月号にて
著者
矢野寿彦
鈴木蘭美(すずき・らみ)
モデルナ・ジャパン社長。1999年英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで医学博士号取得。博士研究員(ポスドク),ベンチャーキャピタルでの仕事を経験し,2004年にエーザイの欧州法人に入社,16年にはエーザイ執行役。ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門ヤンセンファーマでメディカル事業部門本部長,フェリング・ファーマの日本代表を務め,21年11月からモデルナ・ジャパン社長。