日経サイエンス  2023年3月号

特集:ナスカの地上絵 新発見!

なぜそこに何のために描かれたのか

中島林彦(編集部) 協力:坂井正人(山形大学)

ナスカの地上絵はエジプトのピラミッドなどと並ぶ古代文明の謎だ。抜けるような青空の下,太陽が照りつけ,乾いた風が吹き,草木も生えない真っ平らで広大な地面に描かれた50m超のサイズの鳥や魚,虫などの巨大な地上絵は,上空から眺めなければ視野に収まらない。飛行機も気球もなかった約2000年前,なぜそんな地上絵が,なぜ荒涼とした南米ペルーのナスカ台地に作られたのか。古代ナスカ人は文字を持たなかったので記録はない。山形大学のグループはその謎解きにつながる数多くの新たな手がかりをつかんでいる。

「どこにどういう地上絵がいつ作られたのか,そうしたことを把握できるデータが集まりつつある。それがわかれば,何のために描かれたのかという答えが得られるだろう。大学院時代,ナスカに通うようになってから30年,奉職した山形大学で研究を始めて20年,そろそろ結果が出せればよいかなと思っている」。文化人類学と考古学が専門の坂井正人・山形大学教授はこう話す。坂井教授が主導する同大学のグループはナスカ台地での学術調査をペルー文化省から許可された世界で唯一の組織だ。日本国内の大学や研究機関のほか,地元ペルーや米欧の研究者も加わり,プロジェクトを推進している。




続きは日経サイエンス2023年3月号にて

協力:坂井正人(さかい・まさと)
山形大学学術研究院教授(人文社会科学部主担当)。同大学ナスカ研究所考古人類学部門長を兼務する。専門は文化人類学,アンデス考古学。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

ナスカの地上絵古代アンデス文明世界遺産ナスカ台地インヘニオ川ナスカ川アンデス山脈カワチ神殿ベンティーヤ神殿フクロウ人間