
南米ペルーの荒涼としたナスカ台地に描かれた動物などの巨大な線画は「ナスカの地上絵」として知られ世界遺産になっている。サイズは50m超もあり,上空から飛行機で眺めなければ視野に収まらない。ところが近年,山形大学ナスカ研究所を中心としたグループの現地調査から,これまで知られていなかった50m以下のサイズの小さな地上絵が多数存在することが明らかになった。その総数は巨大な線画の約10倍,400点近くに達し,今後,調査が進めばさらに増えそうだ。文字を持たなかった古代ナスカ人は,こうした小型の地上絵を使って情報を伝えていた可能性がある。なぜ巨大な線画が描かれたのか,理由はよくわかっていないが,小型の地上絵はその謎を解く有力な手がかりになりそうだ。
浮かび上がる古代アンデスの世界 中島林彦 協力:坂井正人
なぜそこに何のために描かれたのか 中島林彦 協力:坂井正人