
月面地下の溶岩洞に設置された国立大学共同利用機関法人・低重力研究所。通称,低重研。そこでは,地球の1/6しかない月の低重力環境を生かした,あるビジネスが試みられていた。移植用の再生臓器の培養である。ところがある晩,ひとりの男が侵入し,その手には銃が握られていて……未来を日常にする作家・柞刈湯葉による異色のSF短編。
著者
柞刈湯葉(いすかり・ゆば)
福島県郡山市出身。大学で分子生物学を研究する傍ら小説投稿サイト「カクヨム」に連載した『横浜駅SF』が人気を博し,2016年にカクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞。2019年に大学を退職し専業作家となる。近著に『人間たちの話』(ハヤカワ文庫JA) ,『まず牛を球とします。』(河出書房新社)など。