
2022年12月11日16時38分(日本時間),日本発の宇宙ベンチャーispace(アイスペース)が進める月面探査プログラム「HAKUTO-R」の月着陸船が打ち上げられた。米スペースX社のファルコン9に搭載した着陸船は,月を目指す軌道に予定通りに投入された。月面への着陸を目指した約5カ月間の旅がついに始まった。
打ち上げの瞬間,都内の会場には宇宙に飛び立つロケットの中継動画が映し出され,集まった関係者から大きな歓声と拍手が巻き起こった。打ち上げから約45分後にロケットから切り離され,月着陸船は無事に「独り立ち」して月に向けた航行を開始した。電力の供給や姿勢の制御といった着陸船の基幹システムに不備がないことが確認できた。
月面への着陸に成功すれば,民間企業では初になる可能性がある。過去に月面に着陸したのは旧ソ連,米国,中国の3カ国だけで,日本が4カ国目になる。2021年に成立した「宇宙資源法」に基づき,世界初の月面資源の商業取引も目指す。アイスペースには「月を生活圏」にするという壮大な目標のもと,世界から200人ほどの社員が集まっている。小さなチームの大きな夢が実現に向けた第一歩を踏み出した。
続きは日経サイエンス2023年2月号にて