日経サイエンス  2023年1月号

正しく知れば怖くない Facebookでヘビと友だち

E. ウィリンガム(サイエンスライター)

テキサス州はヘビが最も多い州の1つで,80種以上のヘビが生息しており,そのうち11種は毒を持っている。そして,ヘビに遭遇した人は,そのヘビが実際に危険かどうかにかかわらず殺してしまうことが多い。

しかし,そのような人々の考え方をヘビの保護へと変えさせたフェイスブックグループがある。爬虫両生類学者のパイル(Mark Pyle)が2013年に立ち上げた,ヘビの種を同定するフェイスブックグループ「これは何ヘビ?ノーステキサス教育グループ」だ。「ある対象に関する知識を人々に提供できれば,その対象の保護活動も自ずとうまくいくものだ」という考えのもとパイルがつくったこのグループは,メンバーにヘビについて教えることを使命としている。

フェイスブックにはこの他にも,テキサス州全体を網羅するグループやサンアントニオ近郊のヘビ移動サービスが運営しているグループなど数十のグループがあり,そのほとんどがヘビが多く生息する南部や南西部の州のグループである。

ソーシャルメディア大手のフェイスブックは,公衆衛生や政治の分野ではデマ拡散などろくでもないことしかしていないと悪評が高いが,ヘビの命を救うことにかけては強力なツールになった。フェイスブックだけではない。野生動物を愛する人々が様々なソーシャルメディアを利用してコミュニティーをつくり,ヘビに関して流布している俗説を正確な情報で書き換える活動をしている。こうした取り組みにより,大のヘビ嫌いまでもが熱烈なヘビ好きに変わり,この誤解されやすい生き物に対して彼らが新たに抱くようになった好感が家族や友人,隣人に広がることも多い。こうして,ヘビたちは1日また1日と生き延びている。

続きは日経サイエンス2023年1月号にて

著者

Emily Willingham

テキサス州を拠点とするサイエンスライター,作家。最新作は「The Tailored Brain」(Basic Books,2021年)。

原題名

Saving Snakes(SCIENTIFIC AMERICAN September 2022)

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