日経サイエンス  2022年11月号

日本の「HAKUTO-R」月へ

中島林彦(編集部)

東京の都心,日本橋のとあるビルの一画に,月に最も近い場所がある。日本発の宇宙ベンチャーispace(アイスペース)が開設した,月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッションコントロールセンターだ。最初の月着陸船が最短で2022年11月にも米ケープカナベラルから米スペースX社のファルコン9ロケットで打ち上げられる。ミッションコントロールセンターには日米欧の宇宙機関による宇宙ミッションで経験を積んだエンジニアたちが本番に備え,起こりうる緊急事態を想定した訓練などに取り組んでいる。

 

HAKUTO-Rの着陸船は着陸脚を広げた状態で高さ約2.3m,横幅約2.6m。燃料を除いた重量は約340kg。成田空港にある日本航空の施設で試作され,実機は欧州の航空宇宙企業アリアングループのドイツの拠点で組み立てられた。2022年年5月に完成し,翌6月から打ち上げに向けた各種の最終試験を同地で実施しており,終了次第,米国に輸送される予定だ。

今回の着陸船では月探査ロボット2台を運ぶ。アラブ首長国連邦の宇宙機関MBRSCのロボット(重量約10kg)は,カナダの宇宙企業が開発した人工知能(AI)と連携して運用する計画だ。もう1台はJAXAと玩具メーカーなどが共同開発した手のひらサイズのロボット(同約250g)で,同タイプがSLIMにも乗る。このほかカナダ企業の高性能カメラと日本特殊陶業が開発した固体電池を実験装置として運び月で稼働させる計画だ。

続き日経サイエンス2022年11月号にて

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