
2022年9月の時点で日本国内の累積感染者数は2000万人を超えた。もちろんほとんどの人は回復済みだが,この感染症が厄介なのは回復後に一部の人で後遺症が残る点だ。
新型コロナの後遺症はもはや誰にとっても他人事ではない。一体,具体的にどんな症状がどれくらいの割合で報告されているのだろう。自分が後遺症になった場合の治療法は。そもそもどうして後遺症は起こるのか。研究者や診療に携わる医師の話をもとに,コロナ後遺症の治療や発症メカニズムの理解がどれだけ進んでいるのか,現状を整理した。
国内外の疫学調査からは,感染直後の症状(急性期)が軽症であっても後遺症と無関係ではないことが示されている。オミクロン株はそれまでの変異株と比べて感染者に占める軽症の割合が多いが,英国の調査では感染者の20人に1人が1カ月後も何らかの体調不良を抱えていることが明らかになった。
新型コロナの後遺症は症状が多岐にわたり,依然としてその原因には不明なところが多い。しかし,流行が始まって2年半がたち,個々の症状にどう対処すれば良いか,ある程度検討が進みつつある。
本稿では,2021年2月から1年半以上後遺症の専門外来「コロナ・アフターケア外来」を続けてきた岡山大学病院にお話を伺った。倦怠感や頭痛などを始めとした「後遺症の7大症状」が存在し,変異株の種類ごとに多い症状の傾向が異なっていることがわかってきている。さらに,日本循環器学会などが行った感染者の追跡調査によって,症状がなくても心血管疾患のリスクが高まるケースがあることも明らかになってきた。
メカニズムについても,国内から重要な研究報告が相次いでいる。キーワードは「炎症」だ。思考力や集中力が低下する「ブレインフォグ」や,画像検査では異常が見つからないレベルの肺の呼吸困難感などに,炎症が関与している可能性がある。
詳しくは日経サイエンス2022年11月号にて
本特集に合わせて全国の後遺症相談窓口の一覧をまとめています。
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「COVID-19 危うい後遺症 体内で何が起きているのか」,出村政彬,日経サイエンス2021年6月号。
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