日経サイエンス  2022年10月号

特集:シン・ウルトラマンの物理学

超重元素「スペシウム133」研究序説

中島林彦(編集部) 協力:延與秀人/羽場宏光/森本幸司(いずれも理化学研究所)

ウルトラマンのエネルギー源は何か。全国公開中の映画『シン・ウルトラマン』の作中,防災大臣らとの会談の席上でこう問われた外星人「ザラブ」は滑らかな口調で答えた。「133番元素,スペシウム133だ」。元素は原子番号が大きいものほど重くなり,104番以降は超重元素と呼ばれる。現実世界で見つかっているのは118番まで。133番は理論的に存在が予想される超重元素だ。

現実世界において,新しい超重元素を探索する世界的拠点が国内にある。現代物理学のパイオニア,仁科芳雄(にしな・よしお)の名を冠した理化学研究所の仁科加速器科学研究センター(埼玉県和光市)だ。仁科センターを中心とするグループは113番元素をめぐるロシア・米国共同グループとの熾烈な競争を制し,米欧露以外で初めて元素命名権を獲得,「ニホニウム」が誕生した。

その前センター長で,シン・ウルトラマン』の制作に協力した延與秀人(えんよ・ひでと)博士にSFファンの1人として,原子核物理学の観点からスペシウム133とウルトラマンについてイメージ豊かに語ってもらった。超重元素には「安定の島」と呼ばれる重要テーマがあり,これが新元素探索の動機にもなっている。スペシウム133を安定の島と結びつけて考えると,奥が深い空想科学のストーリーができる。

続きは2022年10月号にて

協力:延與秀人(えんよ・ひでと)/羽場宏光(はば・ひろみつ)/森本幸司(もりもと・こうじ)
3人はいずれも理化学研究所仁科加速器科学研究センターに所属する原子核物理学者。延與は前センター長で現在は同センター理研BNL研究センター長。羽場は超重元素研究開発部の部長,森本は同部の超重元素分析装置開発チームリーダー。

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周期表の未踏領域『安定の島』を目指して」,C. E. デュルマン/M. ブロック,日経サイエンス 2019年3月号。

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