
国連の温暖化報告書で唯一日本出身の統括執筆責任者
CO2濃度上昇による生産性の変化を探る
難民や紛争を生む食料不足に歯止め
農水省所管の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)で農業の気候変動適応策を研究する長谷川利拡は,地球温暖化が水稲に及ぼす影響評価で世界をリードする研究者だ。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業グループに日本を代表して参画,報告書作成に携わった。アジアの主食,コメの将来を双肩に担う。(文中敬称略)
2022年2月28日,IPCC第2作業グループは,気候変動への適応策に関する第6次報告書と政策決定者のための要約(SPM)を公表した。各国政府や国連開発計画(UNEP)など国際機関から400人以上の専門家と政策担当者がオンラインで参加し2週間にわたる議論でまとめた。
長谷川は唯一の日本出身のコーディネーティング・リードオーサー(CLA,統括執筆責任者)として参加した。
続きは日経サイエンス2022年10月号にて
長谷川利拡(はせがわ・としひろ)
農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境研究部門 気候変動適応策研究領域長。神戸市生まれ。1985年京都大学農学部卒業,86〜87年米ウィスコンシン大学に交換留学。90年京大大学院農学研究科博士課程中退後(博士号は96年に取得),九州東海大学助手に。北海道大学助手,同助教授を経て2003年に農業環境技術研究所主任。21年に農業・食品産業技術総合研究機構農業環境研究部門グループ長。22年5月から現職。