日経サイエンス  2022年9月号

特集:細胞の清掃工場を薬に

編集部

創薬に革新が起きつつある。細胞内で不要になったタンパク質を除去する「清掃工場」を使い,病気の原因を取り除く新薬の登場が近づいている。このタンパク質分解誘導薬は,細胞内のあらゆるタンパク質を狙えるため,これまで薬ができないとされてきた病原タンパク質が新たに治療の標的になる。先行するのは,抗がん剤の開発だ。すでに使われている抗がん剤が同じ仕組みで作用しているとわかり,創薬の有望な戦略として製薬企業からも注目を集める。臨床試験が進み,実用化が視野に入ってきた。アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患への応用を目指した研究も動き出している。病気の原因がわかっても治療薬がない患者を救う技術になりそうだ。



病原タンパク質を狙って分解
  遠藤智之  協力:内藤幹彦/伊藤拓水/石川稔/有本博一
必須遺伝子の機能を特定 創薬を加速する新手法  遠藤智之  協力:鐘巻将人

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