日経サイエンス  2022年5月号

nippon天文遺産 第36回

旧東京天文台堂平観測所(中)

中島林彦(編集部) 協力:渡部潤一(国立天文台)/大島紀夫(堂平天文台・元国立天文台)

明治時代の初めから約1世紀,日本の近代天文学の揺籃期を支えてきた望遠鏡の主力はドイツや英国などからの輸入品だった。国産に切り替わる契機となったのが東京大学東京天文台(国立天文台の前身)が昭和時代半ばに導入した2台の口径91cm望遠鏡で,当時新設された岡山天体物理観測所と堂平(どうだいら)観測所に各1台設置された。岡山の方は今も天文研究に用いられているが,堂平の方は約20年前,観測所の閉鎖に伴って現役を引退,星空観望の望遠鏡として余生を送っている。日本の天文学が日本の望遠鏡によって発展し始めた時代の息吹を感じ取ることができる。 (文中敬称略)

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