
AIは生活を便利にするが,差別や不公正など負の側面も顕在化している
「両刃の剣」となるAIを上手に使うため「技術と社会のデザイン」を考察
多様な当事者が解決に挑みAIを安全・適切に使うガバナンスを唱える
AIが様々な場面で使われ,気づかぬうちに社会や生活に深く入り込んでいる。日常生活を便利にしたり経済活動を効率化したりして恩恵をもたらしている半面,プライバシーや人権の侵害,差別の助長など課題も表面化している。そうした課題に向き合い,人とAIとのつき合い方を研究しているのが東京大学未来ビジョン研究センター准教授の江間有沙だ。AIを安全で適切に利用する「ガバナンス」のあり方を模索し,市民,企業,研究者が垣根を越えて課題や活用法を話し合う「場づくり」に奔走する。(文中敬称略)
江間有沙(えま・ありさ)
東京大学未来ビジョン研究センター准教授。2007年東京大学教養学部広域科学科卒。2012年東大大学院総合文化研究科博士課程修了。同年,京都大学白眉センター特定助教。2015年東大大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構特任講師。2018年東大政策ビジョン研究センター特任講師を経て2021年4月から現職。このほか理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員,産業技術総合研究所人工知能研究戦略部研究支援アドバイザーを兼務。近著に『絵と図でわかる AIと社会 未来をひらく技術とのかかわり方』(技術評論社)など。