日経サイエンス  2022年3月号

数楽実験室マテーマティケー 第3回

偶奇を意識する

図と解説:矢崎成俊

今日の数楽実験室はどうなるかしら。間瀬真知香(ませ・まちか)は,ルイボスティーを飲もうと手を伸ばした。
「おはようございます!」
高校生の何戸家奈留沙(なんとか・なるさ)と夏太(なつた)の姉弟が元気に現れた。
「おはようございます。今日は偶数と奇数を意識する日にしましょう」

 

◎同じところに行き着く
「まず,ウォーミングアップです。2人とも左手を出して,人差し指にリングをはめてください」
真知香は2人にリングを渡した。
「なんかぶかぶか」と夏太はリングをくるくる回している。
「そのほうがやりやすいですよ。このリングを,隣の指に移動させていきます」
真知香は手順を説明した。

 

①好きな名前を思い浮かべ,その文字数だけ,リングを隣の指に移動させる。リングは右と左のどちらに移動してもよく,行ったり来たりしても構わないが,指を飛ばしてはいけない。親指もしくは小指に到達したら折り返す。
②それをもう1回繰り返す。
③そこからリングを小指の方向に「好き」の2文字の分だけ移動する。
 

 
「りょーかい!」
2人はしばらく熱心にリングを動かし,やがて手を止めた。
「どの指にリングがありますか?」
「薬指です」
2人は声を揃えた。お互いの手を見る。
「夏太くんは,誰の名前を考えましたか」
「お,お,た,に。野球の大谷翔平選手です」
夏太が考えた名前は4文字。写真は夏太のリングの動きだ。
「奈留沙さんは?」
「や,ま,ざ,き,け,ん,と。ファンなので」
「端正な方ですよね。お2人の名前の文字数は違いましたが,最後は2人とも薬指にリングがはまっています。なぜだと思いますか?」
 
 
続きは現在発売中の2022年3月号誌面でどうぞ。

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