日経サイエンス  2022年2月号

数楽実験室 マテーマティケー 第2回

逆さまに考える

図と解説:矢崎成俊(明治大学)

間瀬真知香(ませ・まちか)は今日の数楽実験室の準備を終え,ルイボスティーを一口飲んだ。と,そのとき,アシスタントの高校生,何戸家夏太(なんとか・なつた)が勢いよく部屋に入ってきた。

「おはようございます。今日は姉を連れてきました」
「夏太の姉の何戸家奈留沙(なんとか・なるさ)です。弟が面白いからと言うので,ついてきました」
「夏太くんから聞いています。奈留沙さんは何年生?」
「高校2年生です」
「夏太くんの1年上ですね。よろしくお願いします。では,前回の復習から始めましょう。夏太くん,円柱を斜めに切ると切り口はどんな形になるか,覚えていますか」
「楕円です。ルイボスティーの入ったコップを斜めにすると,表面が楕円になりました」
「そうですね。この問題を,逆さまに考えてみましょう。切り口が楕円になるような立体は何でしょうか?」
「それは円柱ですけど……。あ,円錐も切り口が楕円でした」
「そうですね。円柱を斜めに切ると切り口は楕円になりますが,逆に,切り口が楕円になるような立体は何?という問題だと,円柱以外の答えもあるわけです」


◎前提条件をあぶり出す
「逆さまに考えるのは,実はとても重要なことなのです。まず,こんな問題を考えてみましょう」
真知香はそう言って,2人に図を見せた。

「円は1点からの距離が等しい点の集まりです。この図では中心O から点A,B,C,D までの距離はどれも同じです」
「はい」
「では,逆さまに考えてみよう。1点からの距離が等しい図形は何でしょうか?」


続きは現在発売中の2022年2月号誌面でどうぞ。