日経サイエンス  2022年2月号

特集:アルツハイマー病の意外な引き金

認知症を引き起こすアルツハイマー病。脳にアミロイドという異常なタンパク質が蓄積するために神経細胞が死滅することによって起きると考えられ,このタンパク質を除去する治療薬の開発が進んできた。だがその期待は外れ,病気の進行を食い止める薬はいまだ存在しない。これまでの方針は正しかったのか? あるいは,これまで見落とされてきた別の原因が隠れているのではないだろうか? そんな見方が浮上し,発症のメカニズムを洗い直して新たな治療の可能性を探る研究が始まっている。その中から,脳の免疫細胞「ミクログリア」の関与や,脳のバリアとして働く血液脳関門の破れ,記憶の形成を担う脳回路の失調などが浮かび上がってきた。

脳の免疫細胞 ミクログリアの裏切り  J. ウルリッヒ /D. M. ホルツマン
血液脳関門の破れがもたらす認知症  D. カウファー/A. フリードマン
なぜ記憶は失われるのか 見えてきた脳回路の変調  五十嵐 啓

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