日経サイエンス  2022年1月号

特集:地球防衛

危険な小惑星にどう向き合うか

S. スコールズ(サイエンスライター)

天体の地球衝突によって人類文明が大打撃を受ける可能性があり,そのための取り組み「地球防衛」(プラネタリー・ディフェンス、スペースガード)が進んでいる。

天体を衝突コースからそらす手段を検討するため,初の大がかりな宇宙実験が2022年秋に実施される予定だ。探査機DARTが向かうのは小惑星「ディディモス」の周りを回る小さな衛星「ディモルフォス」。DARTはこの衛星に激突,衛星の周回軌道を変え,それによって太陽を周回するディディモスの軌道運動にも変化を起こす。610kgの探査機が,天体としては小ぶりの48億kgのディモルフォスに秒速6.58kmで衝突すれば,ディディモスを周回する周期が約10分変化すると予想されている。ディモルフォス自体も都市を危険にさらすサイズの天体なので,探査機が持つ運動量をどれほどうまく衝突相手に移せるのか確認したいと研究者は考えている。

一方,地球接近天体の調査で重要な役割を果たしていたアレシボ電波天文台とそのレーダー機能が2020年末に失われたことで,地球防衛のための武器は不足してきている。米国など各国はそのリスクを評価中で,小惑星衝突の脅威をうまく処理する新たな方法を検討するとともに,次に起こりうることに対する計画を練ろうとしている。

著者

Sarah Scoles

コロラド州デンバーを拠点とするサイエンスライター。WIRED Science誌の寄稿ライターおよびPopular Science誌の寄稿編集者。著書に「Making Contact: Jill Tarter and the Search for Extraterrestrial Intelligence」(Pegasus Books,2017年)および「They Are Already Here: UFO Culture and Why We See Saucers」(Pegasus Books,2020年)がある。

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原題名

The Broken Shield(SCIENTIFIC AMERICAN June 2021)

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