
小惑星が地球に落ちてきて,かなりの被害が出そうなことがわかったとき,人類はどんな手を打てばよいのか。衝突回避策を検討するため,初の大がかりな宇宙実験が始まる。小惑星の周りを回る衛星に探査機をぶつけ,軌道を変えてみようという米国のDARTミッションだ。日本でも新たなプロジェクトが動き始めた。大都市に災害をもたらしうるサイズの小惑星が100年から数百年に1回,地球に衝突しているが,現状では監視が十分には行き届いていない。それらを高効率で検出する探索システムの開発が進み,試験観測が始まった。一方,悪いニュースもある。地球接近小惑星の探索で活躍していた米国の巨大レーダー施設が崩壊,代替施設のめどが立っていないのだ。地球防衛の最前線を報告する。
危険な小惑星にどう向き合うか S. スコールズ
100年に1回の衝突を見逃さない 中島林彦 協力:奥村真一郎/酒向重行/吉川 真