日経サイエンス  2022年1月号

フロントランナー挑む 第120回

医工に跨がる探究心 脳機能の回復につなげる:牛場潤一

吉川和輝(日本経済新聞編集委員)

脳卒中の後遺症で動かなくなった手などのリハビリに有効な装置を実現
患者の脳と装置の間で情報をやりとりする独自のBMIを考案した
医工に跨がる探究心と独創的な発想,粘り強い情熱で社会貢献をめざす




脳をコンピューターとつないで情報をやりとりするブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術。BMIを医療分野に応用し,脳卒中の後遺症で動かなくなった手などのリハビリテーションで成果を上げているのが慶應義塾大学理工学部准教授の牛場潤一だ。子どものころから抱いていた脳やAI(人工知能)への深い関心や,病気で苦しむ人への思いが未踏の研究領域へと突き動かしている。 (文中敬称略)

牛場潤一(うしば・じゅんいち)
慶應義塾大学准教授。1978年東京都生まれ。2001年慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。2004年同大学院理工学研究科後期博士課程修了。同理工学部生命情報学科助手,専任講師を経て2012年より准教授。2019年からはブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術を実用化するスタートアップConnect株式会社の代表取締役も務める。博士(工学)。

サイト内の関連記事を読む