日経サイエンス  2021年10月号

天然ガスを供給網を活用する脱炭素社会への近道

M. E. ウェバー(テキサス大学オースティン校)

社会の二酸化炭素(CO2)排出を減らすには,エネルギーシステムをできるだけ速やかに脱炭素化する必要がある。メタンを主成分とする天然ガスは燃焼によるCO2排出が比較的少ないが,ゼロではないので長期的な解決策にはならない。一方,社会には天然ガスを利用・供給するインフラがすでに整っており,その資産価値は膨大だ。これを廃棄するのではなく,むしろ利用して社会の脱炭素化を進める方策が考えられる。天然ガスから炭素を取り除くかガスを別の物質に変えて,正味の炭素排出量をゼロにする技術はすでに存在している。

著者

Michael E. Webber

テキサス大学オースティン校のエネルギー資源学の教授で,同校の研究組織ウェバー・エネルギー・グループの代表。世界最大の独立系電力会社と大規模天然ガス供給網を運営する世界的エネルギー・インフラ企業,仏エンジー社(パリ)の最高科学・技術責任者でもある。

原題名

What to(SCIENTIFIC AMERICAN April 2021)

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