日経サイエンス  2021年9月号

特集:宇宙幼年期の謎

大きすぎる120億年前の銀河団

A. S. ロング(カリフォルニア大学アーバイン校)

現在の宇宙では,星形成を終えた楕円銀河が多数集まって銀河団を形成している。近年,新たな望遠鏡の登場で,これらの銀河団の“祖先”に相当する遠方の「原始銀河団」を詳細に観測できるようになった。

 

原始銀河団の1つ,120億年前の「遠方赤色コア」では,一部の銀河がすでに天の川銀河の3倍以上の数の恒星を作り上げていることがわかった。宇宙誕生から20億年弱しかたっていないことを考えると驚きの数だ。また,遠方赤色コアの質量は極めて大きいようだ。なぜ短期間にそれほど大きく成長できたのか,天文学者は頭を悩ませている。

著者

Arianna S. Long

カリフォルニア大学アーバイン校物理学科の大学院生。銀河団の進化を研究している。

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時空の果てをのぞく重力レンズ望遠鏡」,D. コウ,日経サイエンス2019年4月号。

原題名

Too Big for the Universe(SCIENTIFIC AMERICAN January 2021)

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