
現在の宇宙では,星形成を終えた楕円銀河が多数集まって銀河団を形成している。近年,新たな望遠鏡の登場で,これらの銀河団の“祖先”に相当する遠方の「原始銀河団」を詳細に観測できるようになった。
原始銀河団の1つ,120億年前の「遠方赤色コア」では,一部の銀河がすでに天の川銀河の3倍以上の数の恒星を作り上げていることがわかった。宇宙誕生から20億年弱しかたっていないことを考えると驚きの数だ。また,遠方赤色コアの質量は極めて大きいようだ。なぜ短期間にそれほど大きく成長できたのか,天文学者は頭を悩ませている。
著者
Arianna S. Long
カリフォルニア大学アーバイン校物理学科の大学院生。銀河団の進化を研究している。
関連記事
「時空の果てをのぞく重力レンズ望遠鏡」,D. コウ,日経サイエンス2019年4月号。
原題名
Too Big for the Universe(SCIENTIFIC AMERICAN January 2021)