日経サイエンス  2021年9月号

特集:宇宙幼年期の謎

編集部

 大型望遠鏡による観測が進み,誕生から10億~20億年しかたっていない宇宙幼年期の様子がわかってくるにつれて天文学者は頭をひねるようになった。銀河と銀河団は誕生当初は小ぶりで,数十億年をかけて徐々に成長していくと考えられている。ところが,このシナリオでは到底説明がつかない銀河や銀河団が次々と発見されている。例えば宇宙誕生から20億年弱しかたっていない時代の銀河団の1つ「遠方赤色コア」では天の川銀河の3倍以上の数の恒星を作り上げていることがわかった。驚くべき成長速度だ。また同時代の宇宙で見つかった銀河「C1-23152」は太陽の質量の2000億倍相当の星々からなるモンスターのような巨大銀河であることが判明した。様々な仮説が提唱され,観測研究が熱を帯びている。


大きすぎる120億年前の銀河団  A. S. ロング

最初期に出現したモンスター銀河  R. G. アンドルーズ

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