日経サイエンス  2021年8月号

SNSがしょうもない情報であふれるメカニズム

F. メンツァー T. ヒルズ(英ウォーリック大学)

人間は誰もみな認知バイアスを抱えている。信頼している仲間からの情報を採用し,リスクに関する情報に注意を払い,自分の考え方に合致する証拠を偏重する。だが,現代の技術とオンライン情報の洪水はこのバイアスを有害な形で増幅している。認知の脆弱性につけこんだ誤情報キャンペーンも現実化している。バイアス増幅のメカニズムを知ることが,対抗策を考えるうえで喫緊の課題だ。

著者

Filippo Menczer / Thomas Hills

メンツァーはインディアナ大学ブルーミントン校ソーシャルメディア観測所(OSoMe)の所長で,情報・コンピューター科学の卓越教授。偽情報の拡散を研究,ソーシャルメディアの操作に対抗するツールを開発している。ヒルズは英ウォーリック大学の心理学教授で行動科学・データ科学の修士コースの責任者。研究テーマは知性の進化と情報。

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原題名

The Attention Economy(SCIENTIFIC AMERICAN December 2020)

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