日経サイエンス  2021年7月号

脳と心のはざまの病気 機能性神経症状症

D. クォン(ジャーナリスト)

かつて「ヒステリー」や「転換性障害」などと呼ばれた疾患は原因がはっきりしない謎の病気とされた。近年は精神科と脳神経内科の間に位置する複雑な疾患として「機能性神経症状症」の名称でとらえ直されている。過去10年ほどで脳画像に基づく研究が進み,患者では運動を制御している脳領域と,情動処理に関与している脳回路の結合が健常人よりも強まっていることなどがわかった。トラウマ体験やストレスの関与などとともに,治療に向けた手がかりになりそうだ。

著者

Diana Kwon

フリーランスのジャーナリスト。独ベルリンを拠点に健康と生命科学に関する記事を執筆している。

関連記事
勝手に学ぶ子どもロボット」,D. クォン,日経サイエンス2018年8月号

原題名

A Disorder of Mind and Brain(SCIENTIFIC AMERICAN November 2020)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

ヒステリー転換性障害心身症機能性神経症状症フォースマッチング虚偽性障害運動主体感顕著性ネットワーク経頭蓋磁気刺激法